長期間の温度湿度の変化や環境により、響板塗装はヒビ割れ、茶色く変色し、空気中の油分やゴミ等を取り込んでベタベタに汚れてしまうこともあります。そのように劣化した響板の塗装を剥離し、必要に応じて適切に修復作業を施した後、響板用塗料で数回に分けて丁寧に再塗装します。
フレーム塗装に伴い、ピンブッシュを新しいものに交換します。チューニングピンは、調律回数等により、新品の状態より多少ピンが緩んでいますので、適切なサイズのピンに交換して、ピンの過多さ(トルク)を調節します。また、新しいチューニングピンに交換することで、錆びてしまっていたピンの箇所も写真のように輝きを取り戻します。
低音部の弦の部分は芯線に銅線を巻く巻線と呼びます。その巻線の部分は汚れの溜まりやすい部分の一つです。ここにホコリが溜まると、ホコリが水分を呼び、水分がサビを生み、その結果、雑音が発生しやすくなります。新しい巻線に交換することで、見た目も綺麗になります。
キズの修復をはじめ、外装磨きをすることで新品同様の輝きを取り戻します。塗装工程で使用する塗料は国内ピアノメーカー(ヤマハ)と同じ塗料を使用しますので、鏡のように写り込み、深みのある仕上りになります。
ピアノの外装金属部分(蝶番、鍵部分、ペダル)を磨きます。長年使用していると金属部分のサビ変色が一番目立っていると思います。状態に適した機械・研磨剤を使用し、サビ落とし・磨きを行うことで、くすんでいた金属パーツが見違えるように本来の輝きを取り戻します。
使用頻度によりハンマーのフェルトの部分には弦の溝が深く付いてしまいます。通常、その場合はファイリングで対応しますが、ファイリングを数回繰り返すと、ハンマーは使用限度に達してしまい、交換が必要になります。ハンマーの位置がずれてしまうと、音量やアクションの動き等に影響する場合があるので、打弦点、角度等に十分注意して交換します。
古いピアノのダンパー部分は劣化が激しい為、虫食い、磨耗等の影響を受けています。ダンパーはピアノの音(響き)を止める重要なパーツです。リニューアルすることで見た目はもちろん、演奏での使用感も蘇ります。
アクションは普段あまり手入れの出来ない部分ですので、長年のホコリが積もったり、汚れがアクションの木部に沈着しています。ピアノにとって非常に重要な部分ですので、丹念にホコリを取り、木部のシミもサンドペーパーを掛けて見栄えも良くします。